6月も後半になると、そろそろ梅雨明けが気になるころ。
今年の雨は多いのかな、台風はどうかな…と、天気予報がいつもより気になる季節ですね。
実はこの時期、「梅雨が明けたから一安心!」というわけではありません。
梅雨の終わりごろや7月には、線状降水帯や集中豪雨、急な雷雨やゲリラ豪雨(局地的大雨)といった、予測しにくい雨の被害が増えてくるんです。
そこで今回は、6月末から7月にかけて見直しておきたい雨の防災のポイントを、ご紹介します。
大がかりな準備ではなく、日々の暮らしの中で気をつけられる「ちょうどいい備え」を、いっしょに確認していきましょう。
「雨の災害」にそなえ

梅雨が終わりに近づく頃から7月にかけては、天気が急変しやすくなります。晴れていたのに突然大雨、気づけば道路が冠水していた…なんてことも。そんな時期に特に気をつけたい現象です。
線状降水帯
線状降水帯は、雨雲が列になって、同じ場所に次々と発生し続けることで、大雨が長時間続く現象です。
まるで、空に長い帯のように雨雲が並んでいるイメージです、同じ地域に強い雨が数時間も降り続くことがあり、川があふれたり、土砂崩れが起きたりと、とても危険な状態になります。
🔷 特徴と注意ポイント
- 幅は20〜50km、長さは50〜300kmくらい。けっこう広い範囲に影響があります。
- 雨雲が「後ろから後ろから」生まれてくる現象を「バックビルディング」と呼びます。これが原因で雨がやまず、被害が大きくなることも。
- 2021年からは、気象庁が「顕著な大雨に関する情報」として、線状降水帯の発生を発表するようになりました。
🔷どうしてこわいの?
- 急に大雨になるので、避難のタイミングがむずかしいことがあります。
- 山の近くでは土がゆるんで、がけ崩れや土砂災害が起こる危険も。
- 都市では排水が追いつかず、道路が水につかってしまうこともあります。
梅雨前線・台風の影響による集中豪雨
集中豪雨とは、短い時間に、狭い範囲に、ものすごい量の雨が降る現象のことです。特に、梅雨前線が停滞しているときや、台風が近づいているときに起こりやすくなります。
🔷梅雨前線が原因の集中豪雨
- 梅雨の時期(6月〜7月)は、暖かく湿った空気と冷たい空気がぶつかる場所に「梅雨前線」ができます。
- この前線が日本列島に長くとどまると、同じ場所に雨雲が次々と発生して、強い雨が長時間続くことがあります。
- 特に梅雨の終わりごろは、前線の活動が活発になり、「梅雨末期の集中豪雨」と呼ばれるような大雨が起こりやすいです。
🔷台風が原因の集中豪雨
- 台風は、大量の水蒸気を含んだ空気を運んでくるため、接近すると大気の状態が不安定になります。
- 台風の進路やスピードによっては、同じ地域に長時間雨が降り続くことも。
- また、台風の外側の雨雲でも強い雨が降ることがあり、本体が遠くても油断できません。
🔷 どちらも共通する注意点
- 急に空が暗くなる、雷が鳴る、風が強くなるなどの変化があれば要注意。
- 「大気の状態が不安定」や「線状降水帯の可能性」といった天気予報の言葉にも敏感になりましょう。
- 集中豪雨は、土砂災害・河川の氾濫・道路の冠水など、さまざまな被害を引き起こします。
こうした現象は、毎年のようにどこかで発生しているので、「自分の地域は大丈夫」と思わず、日頃から備えておくことが大切です。
急な雷雨・ゲリラ豪雨
急な雷雨やゲリラ豪雨は、晴れていたのに突然、真っ黒な雲が現れて、雷とともに激しい雨が降る現象です。特に夏の午後〜夕方にかけて、よく見られます。
「ゲリラ豪雨」という言葉は正式な気象用語ではありません(正式名称:局地的大雨・集中豪雨)が、予測がむずかしく、短時間で局地的に激しい雨が降ることから、そう呼ばれるようになりました。
🔷どうして起こるの?
- 強い日差しで地面が熱されると、暖かい空気が上昇します。
- その空気が上空の冷たい空気とぶつかると、積乱雲が急に発達。
- この雲が、雷や激しい雨、時にはヒョウを降らせる原因になります。
🔷 特徴と注意ポイント
- 発生が急で予測がむずかしい(天気予報でもピンポイントでは読みにくい)。
- 雨の強さは1時間に50〜100mm以上になることも。
- 都市部ではヒートアイランド現象も関係して、発生しやすくなっています。
🔷 前兆を見逃さないで
- 空が急に暗くなる
- 冷たい風が吹いてくる
- 遠くで雷の音が聞こえる
- モクモクとした入道雲が近づいてくる
🔷 どう備える?
- 外出時は折りたたみ傘やレインコートを持っておくと安心。
- 天気アプリや雨雲レーダーを活用して、雨雲の動きをチェック。
- 家の周りの排水溝や雨どいの掃除も、浸水対策として大切です。
- すぐに屋内へ避難するのが安全です。
このような現象は、夏の風物詩のようでいて、実はとても危険です。特に川や地下街では、急な増水や浸水に巻き込まれることもあるので、早めの行動が命を守ります。
今こそ見直したい、防災アイテムのポイント

では、こうした「雨の災害」から身を守るために、どんな備えができるのでしょうか?
ポイントは、“大げさな準備”よりも、“暮らしに寄り添った見直し”です。
傘やレインコートは「非常時用」にもなる
通勤・通学用のほかに、家族全員分の防水性の高いレインコートを一式そろえておくと安心。
手がふさがらないポンチョ型や、リュックの上から着られるタイプがおすすめです。
防水グッズでスマホや貴重品を守ろう
- ジップ袋(スマホや通帳などを入れる)
- 防水ポーチ(避難用バッグに常備)
- 折りたたみバケツ(雨水対応や浸水時の排水用に)
はじめて使うときに困らないように、一度使ってみるのが◎
水害マップ・避難場所を見直しておく
お住まいの自治体のハザードマップを見てみましょう。
「うち、意外と浸水区域かも…」と気づく方も少なくありません。
特に注意したいのは、
- 近くに川や用水路がある地域
- 地下鉄や地下駐車場が近い住宅街
- 坂道の下側に家がある方
避難所だけでなく、一時的な高台や安全な移動ルートも家族で確認しておきましょう。
懐中電灯・モバイルバッテリーは今こそ点検!
- 停電時、夜間の避難や連絡に不可欠
- モバイルバッテリーは2〜3個を交互に充電・使用
水害時は停電も同時に起きることが多いため、乾電池・LEDライトの寿命確認も忘れずに。
家の中・外でできる「雨への備え」

おうちの周りを点検しよう
- 雨どいに落ち葉やゴミが詰まっていないか
- ベランダの排水溝がふさがれていないか
- 外に置いたままの物干しや植木鉢の固定
これらを見直すだけでも、被害をぐっと減らせます。
避難グッズは「雨でも動ける内容」に
- 靴は濡れてもすぐ乾くスニーカーや防水ブーツに
- バッグは防水カバーや撥水加工のものを選ぶと◎
- 雨の中でも両手が使えるよう、リュックスタイルを基本に
「とりあえず持っていく」だけでなく、”雨の日でも使えるか”という視点が大切です。
おわりに
大雨や台風は、毎年やってくる“季節の災害”です。
でも、だからこそ、「備えられるタイミング」でもあるんです。
6月末〜7月は、暑さに備える前の“防災準備の見直しどき”。
今回ご紹介したように、ちょっとした道具の点検や、暮らしの中の確認をするだけで、いざという時の安心感がぐっと変わってきます。
「今日は天気が荒れそうだな」と思ったら、
防災バッグをのぞいてみる。
懐中電灯の電池を取り替えてみる。
そんな“小さなそなえ”が、大きな安心につながるはずです。