津波と高潮の【警報】違いとは?名古屋の防災対策で今こそ見直そう!

体験談×備え

2025年7月30日午前8時25分頃、ロシアのカムチャッカ半島沖でマグニチュード8.7の世界最大規模の巨大地震が発生し、日本の太平洋沿岸に津波警報が発令されました。

名古屋で午後2時19分に20cmの津波を観測、岩手県久慈港では1メートル30センチの津波、カムチャッカ半島では3~4メートルの津波が襲うなど、改めて津波の恐ろしさを目の当たりにしました。

今回の出来事を受けて、「津波と高潮って何が違うの?」「名古屋は大丈夫?対策は?」という疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、津波と高潮の違いを解説し、名古屋市の防災対策についてお伝えします。

津波と高潮の違い

津波とは?

原因:地震・海底火山・海底崩壊などによる急激な海底地形の変化で海水全体が動かされるもの。

波の性質:波長が非常に長く、海底から海面まで変動が伝わります。沖合では穏やかに見えても、近づくと大きな壁のような波になって沿岸を襲います。

到達時間:震源地から数分~数時間で到達します。

特徴:予期できず、地震直後に一気に押し寄せる。津波の一部は数十cmでも致命的な力を持つことがあります。長く続く引き波も見られ、川を遡上する場合もあります。

今回のカムチャッカ半島沖地震のように、遠くの地震でも日本に津波が押し寄せることがあります。

高潮とは?

原因:台風や発達した低気圧による気圧低下と強風が海水を吸い上げ・吹き寄せることで海面水位が異常に上昇する現象です。

波の性質:一時的に潮位が数メートル上昇し、徐々に被害が進む。波というより“海面全体が上がる”イメージです。

特徴:風による水の吹き寄せと気圧変動の影響で起こる。台風接近時の高潮警報や注意報が発表され、海岸堤防を越えるような浸水を引き起こします。直撃を受けると長時間の浸水が継続することもあります。

比較表:津波/高潮

項目津波高潮
発生原因地震・火山噴火・海底崩壊などの地殻変動台風や低気圧による気圧低下と強風の影響
波の特徴海水全部が移動し、長い波長で沿岸に影響海面が全体的に上昇する現象、波としては見えにくい
発生速度数分〜数十分で襲来する(予測も難しい)数時間〜数日かけてゆっくり上昇
破壊力巨大な波で一気に甚大な被害を及ぼす徐々に浸水し、堤防越えや広範囲被害を招く

津波警報と高潮警報の違い

津波警報とは?

対象災害:地震や海底火山活動などによる津波

発表基準(気象庁):

  • 大津波警報:予想される津波の高さが 3mを超える場合に発表され、5m、10m以上など段階的に表現されます。
  • 津波警報:1〜3m程度の津波を予想。
  • 津波注意報:0.2〜1m程度の比較的小さな津波に対して発表されます。

特徴:発生から手遅れになる可能性があるため、「地震を感じたら即避難」が原則です。一度の波だけでなく、数時間にわたり繰り返し来る可能性も。高さや揺れに応じた「垂直避難(高い場所へ逃げる)」が推奨されます。

高潮警報とは?

対象災害:台風や低気圧によって海面が気圧低下・強風で吸い上げられた“海面の異常な上昇”

発表基準

  • 気象庁は高潮発生が予想される場合、高潮・波浪警報または高波注意報を発表します

特徴①:波というより海面が数メートル上昇し、堤防や海岸を超えて浸水する傾向があります。台風進路や気象状況を見て判断。予報に基づく避難判断が必要です。

比較表:津波警報/高潮警報

分類津波警報 (大津波・津波注意報)高潮警報(及び高波注意報)
主な原因地震・海底地殻変動による津波台風・低気圧による強風・気圧低下
予想される水位0.2m~10m以上(大津波警報含む)数メートルの海面上昇
発令のタイミング地震の発生直後、迅速な対応が必要台風・気象警報に対応して事前に判断
避難方法地震直後、できるだけ高台へ避難(垂直避難)気象警報に応じて、低地からの早期移動や避難所利用
持続時間数時間続く恐れあり(繰り返し襲来)浸水が長時間続く可能性あり

なぜ区別が重要なのか?

避難のタイミングと方法がまったく違う

津波警報:地震が起きた直後や津波の予報が出た場合は、「揺れたら即避難」が基本。高台や津波避難ビルへ垂直避難する必要があります。

高潮警報・注意報:台風などの気象状況に応じて予兆があるため、台風接近前に高台へ早めに避難する行動判断が大切です。

港区のように海抜0m地帯が広がる地域では、津波だけでなく高潮にも備えることが不可欠です

名古屋市の津波・高潮対策

名古屋市が直面するリスク

愛知県、特に名古屋港周辺

  1. 海抜ゼロメートル地帯:港区の大部分が海面よりも低い
  2. 南海トラフ地震の想定震源域:近い将来の巨大地震が懸念される
  3. 台風の通り道:伊勢湾台風の教訓から高潮対策も重要

名古屋港の防災施設

高潮防波堤の整備

  • 完成年:平成28年度に改良工事完了
  • 対策内容:地震・津波対策としてかさ上げやケーソンの補強
  • 防護範囲:鍋田堤、中央堤、知多堤の改良

津波避難施設

  • 命山:港区船頭場地区に名古屋市初の人工高台を整備
  • 津波避難ビル:港区内に多数指定
  • 防潮堤:津波や高潮の被害を防ぐための施設

名古屋市港区の津波想定

南海トラフ地震での想定

  • 津波高:最大2.8メートル
  • 到達時間:地震発生から約100分後
  • 浸水域:港区の広範囲が浸水想定区域

津波・高潮警報が出たときの行動

津波警報が出たら

  1. すぐに高台へ避難
    • 海岸や川沿いから離れる
    • 車での避難は渋滞の原因となるため徒歩で
  2. 正確な情報を収集
    • テレビ、ラジオ、防災アプリで最新情報をチェック
    • デマや憶測に惑わされない
  3. 避難は完全解除まで継続
    • 第一波が最大とは限らない
    • 数時間にわたって警戒が必要

高潮警報が出たら

  1. 台風情報を常にチェック
    • 進路や勢力の変化を確認
    • 満潮時刻との重なりに注意
  2. 事前の備え
    • 飛ばされやすいものを屋内に収納
    • 停電に備えて懐中電灯や携帯ラジオを準備
  3. 危険区域からの避難
    • 海抜の低い地域や海岸近くは早めに避難
    • 避難勧告・指示に従う

家庭でできる津波・高潮対策

日頃の備え

情報収集手段の確保

  • 防災アプリ:Yahoo!防災速報、NHKニュース・防災など
  • ラジオ:停電時でも情報収集可能
  • 緊急速報メール:設定を確認しておく

避難場所・経路の確認

  • 津波ハザードマップ:名古屋市公式サイトで確認
  • 避難場所:複数の避難場所を把握
  • 避難経路:実際に歩いて確認

非常持ち出し品の準備

  • 基本セット:水、食料、懐中電灯、携帯ラジオ、電池
  • 貴重品:現金、通帳、保険証のコピー
  • 医薬品:常備薬、お薬手帳

地域との連携

自主防災組織への参加

  • 地域の防災訓練に参加
  • 近所の方との情報共有
  • 要援護者の把握と支援体制

避難訓練の実施

  • 家族での避難訓練
  • 学校や職場での訓練参加
  • 実際の避難時間の確認

今回の津波警報から学ぶこと

早期警戒システムの重要性

今回、カムチャッカ半島沖の地震発生から約10分後には津波注意報が発表され、その後津波警報に切り替えられました。

迅速な対応により:

  • 沿岸住民の早期避難が可能
  • 漁船の沖出しや港湾施設の保護措置が実施
  • 被害の最小化が図られた

継続的な警戒の必要性

津波は一度だけではなく、数時間にわたって繰り返し押し寄せます。

  • 第一波の後も継続的に津波が到達
  • 最大波は後から来ることもある
  • 警報解除まで警戒を継続することが重要

遠地津波への備え

日本から遠く離れた場所の地震でも、津波の被害を受ける可能性があります。

  • 太平洋全域:環太平洋地震帯の地震に注意
  • 到達時間:数時間の猶予があるため冷静な対応が可能
  • 国際協力:太平洋津波警報センターによる情報共有

まとめ

今回のカムチャッカ半島沖地震による津波警報は、改めて日本が「津波大国」であることを思い起こさせました。

覚えておきたいポイント

  1. 津波と高潮は全く違う現象:原因、特徴、対策方法が異なる
  2. 名古屋は津波・高潮の両方のリスクがある:海抜ゼロメートル地帯という地理的特性
  3. 遠くの地震でも津波は来る:太平洋沿岸はどこでも警戒が必要
  4. 早期避難が最も重要:警報が出たらすぐに高台へ
  5. 継続的な警戒:第一波で安心せず、警報解除まで注意

皆さんの安全をお祈りしています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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