地下街でお買い物中、地下鉄で移動中、地下駐車場にいる時…もし突然、津波警報や大雨洪水警報が発令されたらどうしますか?
「地下にいる時って、どうやって避難すればいいの?」 「地下街は浸水したら危険って聞くけど、本当?」 「名古屋の地下鉄・地下街は大丈夫?」
そんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、地下空間は津波や洪水に対して非常にリスクが高い場所なんです。でも、正しい知識と対策を知っていれば、命を守ることができます。
今回は、地下にいる時の浸水対策と避難方法について、名古屋の実例も交えながらお伝えします。
なぜ地下は浸水すると危ないの?

地下空間の特徴とリスク
地下空間が浸水に弱い理由は、その構造的な特徴にあります。
1. 水は高いところから低いところへ流れる
地下は最も低い場所にあるため、地上の水がすべて流れ込んできます。わずか10センチの地上浸水でも、地下では深刻な被害となることがあります。
2. 避難経路が限られている
地下空間からの脱出は、階段やエスカレーターなど限られたルートしかありません。多くの人が一斉に避難すると、混雑や転倒の危険があります。
3. 地上の状況が把握しにくい
地下にいると、外の雨の強さや浸水状況がわからず、避難のタイミングを逃しがちです。
4. 水圧でドアが開かなくなる
外側に30センチ以上浸水すると、水圧により外開きのドアが開かなくなり、地下に閉じ込められる可能性があります。
地下にいる時の緊急対処方法

すぐにやるべき3つのこと
1. 情報収集を最優先に
- スマホの防災アプリをすぐに確認
- 館内放送に注意深く耳を傾ける
- 周囲の係員の指示を確認
2. 避難ルートを確認
- 最寄りの出口の場所を把握
- 複数の出口を頭に入れておく
- エレベーターは使わない(停電の危険)
3. 早めの行動を心がける
- 「まだ大丈夫」と思わず、早めに地上へ
- 人混みが始まる前に行動
- 荷物よりも命を優先
避難時の注意点
階段での避難
- 手すりをしっかり握る
- 急がず、慌てず、押し合わない
- 転倒した人がいたら周囲に知らせる
水が流入し始めた場合
- 膝の高さまで水位が上がったら避難困難
- 流れのある水深15センチでも歩行困難
- 可能な限り高い場所へ移動
名古屋の地下街浸水対策

名古屋市の取り組み
名古屋市は、2000年の東海豪雨の教訓を活かし、地下空間の浸水対策を積極的に進めています。
ハード対策
- 止水板の設置
- 地下街出入口に設置
- 浸水の初期段階で水の侵入を防ぐ
- 防水扉・防水ゲート
- より強固な浸水防止設備
- 水圧に耐える構造
- 出入口のかさ上げ
- 地下への入口を高くして浸水を防ぐ
- バリアフリーにも配慮した設計
- 浸水防止機
- 換気口からの浸水を自動で防ぐ
- センサーで水を感知して自動作動
ソフト対策
- 避難確保・浸水防止計画の策定
- 各地下施設で避難計画を作成
- 定期的な訓練の実施
- 情報伝達システム
- 気象情報の早期収集
- 利用者への迅速な情報提供
- 施設間の連携
- 隣接する地下施設同士での情報共有
- 共同での浸水対策
名古屋駅周辺の対策
名古屋駅周辺は特に大きな地下街があるため、重点的な対策が行われています。
地下街の浸水対策
- ファッションワン:避難確保・浸水防止計画を策定
- 名古屋駅地下街:防水扉や止水板を設置
- 各百貨店:地下フロアの浸水対策を強化
地下鉄の対策
- 名古屋市営地下鉄:全駅で止水板を設置
- 出入口の改良:浸水しにくい構造に改修
- 排水設備の強化:大雨時の排水能力向上
津波・洪水・大雨別の対策

津波の場合
特徴
- 到達時間:沿岸から数分~数十分
- 水位:急激に上昇
- 流速:非常に速い
対処法
- 即座に地上へ避難
- できるだけ高い建物の上層階へ
- 津波警報解除まで海岸に近づかない
洪水の場合
特徴
- 発生時間:数時間~数日前から予測可能
- 水位:徐々に上昇することが多い
- 継続時間:比較的長時間
対処法
- 事前の情報収集が重要
- 早めの避難判断
- 避難場所の確認
大雨・ゲリラ豪雨の場合
特徴
- 発生時間:突発的
- 雨量:短時間で大量
- 排水能力:都市部では追いつかないことが多い
対処法
- 地下からすぐに地上へ
- アンダーパスや低い場所を避ける
- 最新の気象情報をチェック
家庭でできる準備

情報収集手段の確保
防災アプリの活用
- Yahoo!防災速報:緊急情報をプッシュ通知
- NHKニュース・防災:信頼できる情報源
- 特務機関NERV防災:迅速な気象情報
緊急時の連絡手段
- 災害用伝言ダイヤル171の使い方を覚える
- 家族間の連絡方法を事前に決めておく
- 避難場所を家族で共有
地下利用時の心構え
事前準備
- 地下街の避難経路を把握しておく
- 複数の出口の場所を覚えておく
- 緊急時の行動を家族で話し合う
持ち物の工夫
- 防水ケースでスマホを保護
- 小型懐中電灯を携帯
- 笛を持参(閉じ込められた時の合図用)
よくある質問と回答
Q1. 地下街にいる時、どのタイミングで避難すべき?
A1. 大雨警報や洪水警報が発令されたら、すぐに地上に出ることをおすすめします。「まだ大丈夫」と思っているうちに避難しましょう。
Q2. 地下鉄が止まった時はどうすれば?
A2. 駅員の指示に従い、慌てずに最寄りの出口から地上へ避難してください。エレベーターは使わず、階段を利用しましょう。
Q3. 地下駐車場に車を停めている時は?
A3. 浸水の危険がある時は、車よりも命を優先してください。地下駐車場は特に浸水しやすいので、早めに地上へ避難しましょう。
Q4. 地下で浸水が始まったらどうする?
A4. 無理に外に出ようとせず、できるだけ高い場所(階段の上など)に避難し、救助を待ちましょう。笛などで居場所を知らせてください。
まとめ
地下空間は普段は快適で便利な場所ですが、浸水に対しては非常に脆弱です。
覚えておきたいポイント:
- 情報収集を最優先:防災アプリや館内放送をこまめにチェック
- 早めの避難判断:「まだ大丈夫」と思わず、警報が出たらすぐ行動
- 避難経路の確認:普段から複数の出口を覚えておく
- 水の特性を理解:10センチの浸水でも地下は危険
- 家族との連絡方法:事前に決めておく(どの災害伝言板を活用するか)
名古屋市では東海豪雨の教訓を活かし、地下空間の浸水対策が進んでいますが、最終的に命を守るのは一人ひとりの行動です。
日頃から地下利用時の安全について考えて、いざという時に適切な行動がとれるよう準備しておきましょう。