愛知県名古屋市港区の命山を見学してきました|防災公園で学ぶ津波対策 

楽しく学ぶ

みなさんは「命山(いのちやま)」という言葉を聞いたことがありますか?
実は、東日本大震災の教訓から生まれた、津波などの水害被害から命を守るための人工の丘のことなんです。

名古屋市港区に完成した命山の存在を知って、「これは実際に見てみなければ!」と思い、現地視察に行ってきました。

特に、公園と併設されているので、お子さんがいるご家族には、ぜひ実際に足を運んでもらいたい施設です。

命山って何?由来は?

津波や高潮などの水害から命を守るために、人工的に盛り土してつくられた小山のことです。

その歴史は江戸時代、今から約340年前にさかのぼります。静岡県袋井市の海沿いの村では、1680年(延宝8年)に巨大な台風と高潮が襲い、多くの村人の命が奪われるほどの大惨事が起きました。

その教訓から、村の人々は協力し合って高台を築き、人々はその高台で命を救われたのです。その山が「命山」と呼ばれるようになりました。

平成の命山

この袋井市の命山が地元住民に大切に守られるなか、2011年の東日本大震災の後、注目が再燃しました。

地域の防災意識が高まり、静岡県内では「平成の命山」として、先人の知恵を生かした人工の高台が次々と整備されました。

現在では、袋井市には数か所の命山があり、それぞれ地元の暮らしの中に自然に溶け込む公園として親しまれています。

そして名古屋市港区でも、海抜ゼロメートル地帯が広がる地域で、南海トラフ地震による津波被害が深刻に懸念されていました。その声が高まる中、地域住民の強い要望を受けて、ついに港区にも命山が誕生したのです。

袋井市命山に関しては下記より確認ください。

港区・船頭場公園の命山を体験!

公園に到着してまず感じたのは、その広さと命山の存在感。
海抜7メートルと聞いてはいましたが、実際に目の当たりにすると「これなら安心して避難できそう」と強く思える高さでした。

公園の南側にはしっかりとした階段が設けられ、北側には車いすにも対応する緩やかなスロープがあるのが印象的です。
このくらいの広さがあれば、いざというときにはヘリコプターも降りられるかもしれない――そんな災害のシナリオを想像しながら、公園内をゆっくり見て回りました。

また、子どもたちが楽しめる遊具や自然な丘の形状がしっかり残されていて、普段の公園利用にもぴったりだと感じました。

周囲を見渡すと、高い建物がほとんどない平坦な地域であることがよく分かり、この命山がどれほど貴重な避難場所なのかが改めて実感できます。
ちなみに、名古屋駅周辺の高層ビル群も見え、「ここは逃げる必要がある場所なんだ」と自然と気づかされました。

基本情報

施設名船頭場公園 命山
所在地愛知県名古屋市港区船頭場4丁目213
完 成2025年3月
高 さ海抜7m
収容人数最大約3,400人

命山の設備と工夫

防災パーゴラ

防災パーゴラとは、普段は公園などで休憩施設として利用されるパーゴラ(棚状の構造物)を、災害時にはテントなどを張って一時避難所や救護所として活用できるようにした設備のことです。

かまどベンチ

普通のベンチに見える設備。でも実は、これが「かまどベンチ」なんです!

普段:座って休憩できるベンチ
緊急時:座面を外すとかまどになって、煮炊きができる

「こんな工夫があるなんて知らなかった!」災害時の食事確保まで考えられているんですね。

マンホールトイレ

万が一の時には、マンホールの蓋を開けて簡易トイレとして使える設備も整っています。
普段は全く気にしないような設備ですが、災害時にはとても重要な役割を果たします。

その他

ソーラー照明灯は、太陽光を蓄電し、停電時や夜間も公園の出入口や防災施設の周囲を照らしてくれます。

また、ベンチを兼ねた災害時用器具庫などの設備も充実しています。

家族と一緒に見るべき理由

防災意識が自然に身につく

「津波が来たらあの丘に逃げるんだよ」子どもに説明すると、すぐに理解してくれました。

実際に体験することで
・避難場所までの道のりがわかる
・避難にかかる時間を体感できる
・家族みんなで防災について話し合える

普段の遊び場として楽しめる

命山は普通の公園としても十分。
男の子や女の子、園児から小学生くらいの子でしたら色々な遊びができる広さがあります。

・丘登りで体力づくり
・頂上からの景色を楽しむ
・芝生で家族団らん

地域の防災力を実感

実際に行くと、地域の人たちの防災への取り組みを肌で感じることができます。

東日本大震災の後、住民の方々が静岡県の命山を視察し、行政に粘り強く要望した結果、この立派な施設が完成しました。

「みんなで命を守る」という意識が、命山という形になったんです。

他では体験できない貴重な施設

命山は全国でもまだ珍しい防災施設です。愛知県では名古屋市港区が初めて。
この機会に、ぜひ家族で体験してみてください。

まとめ

命山は、先人の知恵と現代の技術、そして地域の人たちの思いが結集した素晴らしい防災施設です。

一人でも多くの方に知ってもらい、実際に体験してもらえれば、きっと地域全体の防災力が高まるはずです。

特に
・小さなお子さんがいるご家族
・津波想定地域にお住まいの方
・防災に関心のある方

きっと、新しい発見があるはずです。

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