「防災、減災、備災って、どう違うの?」そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。最近、テレビや新聞でよく目にするこれらの言葉ですが、実はそれぞれ異なる意味があり、災害から身を守るためには3つすべてが大切なんです。
この記事では、防災・減災・備災の違いを分かりやすく解説し、ご家庭で今すぐ実践できる方法をお伝えします。難しく考える必要はありません。一緒に、家族みんなが安心して暮らせる準備を始めてみましょう。
防災・減災・備災の基本的な違いとは?

3つの用語の定義
防災(ぼうさい) 災害そのものを「防ぐ」ための対策です。建物を丈夫にしたり、堤防を作ったりして、災害の発生や被害を未然に防ぐことを目指します。
減災(げんさい) 災害が起きてしまった時に、被害を「減らす」ための対策です。完全に防げない災害に対して、被害を最小限に抑えることを目的とします。
備災(びさい) 災害に「備える」ための準備です。災害が起きる前から、しっかりと準備をしておくことで、いざという時に適切に対応できるようにします。
項目 | 防災 | 減災 | 備災 |
---|---|---|---|
目的 | 災害を防ぐ | 被害を減らす | 災害に備える |
タイミング | 災害前 | 災害前・災害中 | 災害前 |
主な対策 | 建物強化、堤防建設 | 避難訓練、早期警報 | 備蓄、計画作成 |
取り組み主体 | 主に行政・企業 | 個人・地域・行政 | 主に個人・家庭 |
この3つは、どれか一つだけでは十分ではありません。組み合わせることで、より安全な生活を送ることができるんです。
なぜ3つの災害対策が必要なの?
災害の現実(完全に防げない理由)
どんなに科学技術が発達しても、自然災害を完全に防ぐことは難しいのが現実です。地震や台風、豪雨などの自然の力は、私たちの想像を超えることがあります。
例えば、どんなに頑丈な建物を作っても、想定を超える規模の地震が起きる可能性があります。そのため、「防災」だけでなく、「減災」と「備災」も同時に進めることが大切なんです。
多重防御の考え方
これは「多重防御」という考え方です。一つの対策が破られても、次の対策で被害を食い止める。まるで城の防御のように、何重にも対策を重ねることが重要です。
東日本大震災の教訓から学ぶ
2011年の東日本大震災では、多くの防波堤が津波によって破壊されました。しかし、日頃から避難訓練を行っていた地域では、迅速な避難により多くの命が救われました。これは、防災(防波堤)だけでなく、減災(避難訓練)の重要性を示す事例です。
【防災】災害を未然に防ぐ対策

大規模な防災対策
- 建物の耐震化・免震化
- 防波堤や堤防の建設
- 土砂災害防止工事
- 都市計画による災害に強いまちづくり
家庭でできる防災対策
ご家庭でも、災害を防ぐためにできることがあります。
住宅の安全対策
- 家具の転倒防止器具の設置
- ガラスの飛散防止フィルム
- 耐震診断の受診と必要に応じた補強工事
- 火災報知器の設置と定期点検
身の回りの安全確保
- 寝室に重い家具を置かない
- 枕元に懐中電灯とスリッパを常備
- 避難経路に物を置かない
地域・行政レベルの防災
個人の取り組みだけでなく、地域や行政と連携することも大切です。防災訓練への参加や、地域の防災計画の把握なども、広い意味での防災対策です。
【減災】被害を最小限に抑える対策

減災の考え方と重要性
「災害は起きるもの」という前提で、被害をできるだけ小さくすることを目指すのが減災です。完璧を求めるのではなく、現実的で実行しやすい対策を重視します。
家庭での減災対策
情報収集と判断力の向上
- ハザードマップの確認と理解
- 気象情報の正しい読み方を学ぶ
- 避難のタイミングを事前に決めておく
- 近所の避難所の場所と経路の確認
日常的な訓練
- 家族での避難訓練
- 災害時の連絡方法の確認
- 非常持出袋の中身チェック
- 安否確認方法の練習
企業・地域での減災事例
多くの企業や地域で、減災に向けた取り組みが行われています。例えば、早期警報システムの導入や、住民同士の助け合いネットワークの構築などです。
【備災】災害に備える準備

備災の新しい考え方
備災は、従来の「防災」や「減災」とは少し違った新しい概念です。災害が起きることを前提として、その時に困らないよう事前に準備をしておくことです。
家庭の備蓄と準備
基本の備蓄品
- 水(1人1日3リットル×3日分以上)
- 非常食(3日分以上、できれば1週間分)
- 懐中電灯・ランタン
- 携帯ラジオ
- 救急用品
- 簡易トイレ
- 現金(小銭も含む)
見落としがちな備蓄品
- カセットコンロとボンベ
- ビニール袋(大小様々なサイズ)
- ガムテープ・養生テープ
- ウェットティッシュ
- 生理用品・おむつ
- 常備薬
心構えと計画作り
物の準備だけでなく、心の準備も大切です。
家族での話し合い
- 災害時の集合場所を決める
- 連絡が取れない時のルールを作る
- それぞれの役割分担を決める
- 大切な書類の保管場所を確認
定期的な見直し
- 備蓄品の賞味期限チェック
- 家族構成の変化に応じた準備の見直し
- 季節に応じた備蓄品の調整
3つの災害対策を組み合わせた効果的な取り組み
段階別・時系列での対策
災害対策は、時期に応じて組み合わせることが効果的です。
平常時
- 防災:家の耐震化、家具固定
- 減災:ハザードマップ確認、避難経路確認
- 備災:備蓄品準備、家族会議
災害発生の恐れがある時
- 防災:窓の補強、排水溝掃除
- 減災:情報収集、早めの避難判断
- 備災:非常持出袋の準備、連絡手段確認
災害発生後
- 減災:安全確保、適切な避難行動
- 備災:備蓄品の活用、計画に基づいた行動
家族で取り組む災害対策プラン
我が家の災害対策チェックリスト
□ 家具の転倒防止対策済み
□ ハザードマップで危険箇所確認済み
□ 避難場所・避難経路確認済み
□ 家族の連絡方法決定済み
□ 3日分以上の備蓄完了(最近の推奨は7日以上)
□ 非常持出袋準備完了
□ 家族で避難訓練実施(年2回)
□ 備蓄品の定期点検実施(年4回:季節ごと)
よくある質問(FAQ)
Q: 防災・減災・備災、どれから始めればいいですか?
A: まずは「備災」から始めることをおすすめします。個人や家庭で今すぐできることが多く、取り組みやすいからです。
Q: お金をかけずにできる対策はありますか?
A: もちろんあります。ハザードマップの確認、家族での話し合い、避難経路の確認など、費用をかけずにできることから始めましょう。
Q: 一人暮らしでも3つの対策は必要ですか?
A: はい、一人暮らしの方にも大切です。特に備災は、助けが来るまでの間を自分で乗り切るために重要です。
まとめ
防災・減災・備災は、それぞれ異なる役割を持つ大切な災害対策です。どれか一つだけでは不十分で、3つを組み合わせることで、より安全な生活を送ることができます。
今日からできる3つのアクション
- ハザードマップを確認して、お住まいの地域のリスクを知る
- 家族で話し合いの時間を作り、災害時の行動を決める
- 備蓄品を少しずつ準備し始める
できることから少しずつ始めて、継続していくことが何より大切です。